キンメリアン・エイジ

好き勝手やってます。

アガルタの話/ロードトゥキングス

アガルタの女をみていろんな意味で爆死したわたしです。

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※いま大体こんなかんじ

いやだって誰も不人気残念キャラの代表格みたいなフェルグスがあそこまで大きく扱われるとはおもっても見なかったやろ!!!

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 そんな叔父貴が……あんな……あんな愛くるしい姿に……

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えーと、あなたどちらさまですか?

 

 

◆フェルグスという男の物語

fgoでフェルグスを好きになって、ケルト神話を読み始めたのですが、今回はフェルグスの語られなかった全てが語られていてもう運営は俺を殺す気かと。

アガルタの女とは名ばかりで、サブタイは「フェルグスという男」にしたほうがいいんじゃないかってレベル。

正直アレな評価も多いですが、個人的には不夜城のキャスターのソロモンに対する言及より、ぐだの「え」のほうが「歯を食いしばれえィ!!!!(CV大塚明夫)」案件

 

で、フェルグスの話。

ケルト神話において、フェルグスは上にお兄さん(ファクトナ)がいるんです。その息子があのコンホヴォル。

フェルグスの下には弟のスアルダヴがいて、フェルグスはわかってるだけで三兄弟の次男。ほかにもいるかもしれないけど。

しかしご覧の通り、フェルグスはこんな幼い頃からカラドボルグを背負っている。

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カラドボルグまでちっちゃくなっちゃってまあ……

このカラドボルグっていう剣がまた曲者で、元ネタのケルト神話においても出どころがまるでわからない。レプラコーン伝承の元になったと言われる、「フェルグス・マク・レーティのサガ」には、すでに時のアルスター王フェルグス・マク・レーティの持ち物として出てくる。

つまりカラドボルグって、多分アルスター王家の宝物なんです。おそらく、王位継承を表すレガリアクラスの。

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古き神々の欠片という表現から、代々アルスター王に伝わっていてもなんらおかしくない。

 

しかし実際のところ、フェルグスに王座が回ってきたのは、当時アルスター王であった兄ファクトナが急死したため。そしてリリィちゃんは、そのファクトナ急死よりずっと以前の姿であるのに、カラドボルグを背負っている。 

カラドボルグの特徴に、「簒奪者の手を焼き焦がす」というものがあります。つまりは、カラドボルグを持ち主以外が触ると火傷する、ということ。

事実メイヴの夫であるアリルが、フェルグスに嫉妬して、カラドボルグを隠してしまう話があるのですが、その時アリルはせっかく手に入れたカラドボルグを振るえないので、結局フェルグスに返しています。手が焦げちゃうので。

要するに、カラドボルグに選ばれた持ち主以外は長時間持っていられない。しかもカラドボルグは、山の頂を三つ削り取ったと言われるほどに威力が高い武器。本来、魔猪相手に「普通に死ねる」とかいうような未熟者が持ってていいものではない。しかし、現実にリリィちゃんはすでにカラドボルグを持っている。

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これはどういうことかというと、おそらくこの子はカラドボルグの持ち主となっていて、すでにフェルグスリリィ以外にカラドボルグを握れるものがいないということ。そりゃ、兄弟の確執も激しくなりますわ……。少なくとも、上の子ファクトナはカラドボルグを受け継げずにいますからね。 

 

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しかしすっごいドヤ顔だなコレ

リリィちゃんは、アガルタの女の地底旅行を通して大きく成長し、自分の本来のあり方を理解しました。 しかし、カルデアの、先に召喚されていた大人のフェルグスにそれはできません。彼はアガルタにいたリリィちゃん以上に悩んで今の答えを得たんだと考えると、なかなかクるものがあります。

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一度手に入れた王座を捨ててしまう。それが難しいことなのはわかりきってるけど、フェルグスは結局王座を捨ててしまった。その開き直りの強さというか、諦めの早さというか。でもとにかく清々しい。アガルタはまさにフェルグスの人生の縮図だ。

 

◆カラドボルグの話

そして今回、もう一つの真名とでもいうべきものが明かされた虹霓剣ことカラドボルグ。古代の神々の欠片とか、気になる点がいろいろあったのですが、今回で一番気になる点が解決されました。

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ケルト神話を読んだことがある方なら知っていると思いますが、フェルグスの持っている「カラドボルグ」って、ケルト神話ではアーサー王エクスカリバーと同一視もしくは原型とされることが多いです。

代表的なものが、ウェールズ伝承の「キルッフとオルウェンの物語」。このお話には、アーサー王の原型ともいえる人物が登場します。

 

そのアーサー王の持っている宝物には「馬という意味の名を持つ犬カヴァル」

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「魔法の船プリドウェン」

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などがあります。

しかしその中でも最も有名なのがアーサー王の剣「カレドヴルッフ」。フェルグスが今回使った「極・虹霓剣(カレドヴルーフ・カラドボルグ)」と同じ名前を持つ剣です。

 

私が一番気になっていたのが、カラドボルグとカレドヴルッフとエクスカリバーの関係性。

ラティーンの原型がカラドボルグという設定は前からありましたが、エクスカリバーとの関係性が不明瞭であり、また間の存在カレドヴルッフは存在するのかが疑問でした。

しかし今回、「極・虹霓剣」により、カレドヴルッフが存在すること、エクスカリバーと浅からぬ縁を持つことが明らかになって、個人的に嬉しいです。

 

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 話は少しだけ戻りますが、カラドボルグの話。

ケルト神話ではとても有名な武具ですが、いかんせんでどころがわからない。

フェルグスより多分前に、前述にもある「フェルグス・マク・レーティ」というアルスター王がいて、その人物もカラドボルグを持っていたという話があるんですが、どうも調べてもどこから出てきたのか、何で作られたのか謎。

一説によれば、ヌァザの輝く剣と同一だと言われたりもします。

造形に関しても謎が多く、新紀元社ケルト神話では「柄が二つ」と表現されたり。

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この二冊です

どうもトンファーみたいな感じらしいですが、とにかく謎が多いのがカラドボルグ。

ほかにも「一般的なケルト式の長剣」「王族が使うので殺傷能力はない」と解説してるところも。一番笑ったのは「形状不明」。開き直ってやがる……

わかっていることはその絶大な火力と、とにかく長さに関わる話。

長さに関しては、「虹のように伸びる」「虹の間をくぐり抜ける」「虹の端から端へとどく」などと描写はバラバラですが、とりあえずスケールがヤベエってことだけははっきりしています。

また、振るうたびに虹色の輝きを発するというのも共通しており、とにかくこの剣は虹との関わりが強いです。 

 

でも「虹霓剣」ってシンプルなネーミングいいよね。YAIBAの雷神剣 風神剣 覇王剣を思い出す。シンプルなのにインパクトがあって、字としても美しいのがたまんないです